
「英検準一級の難易度は?」
「英検準一級の長文ってどのように対策すればいいの?」
「英検準一級の長文問題を攻略するコツは?」
英検二級に受かり英語にもある程度自信がついたところで、次に目指すとなれば英検準一級。
英検準一級を取得するといよいよ上級者の仲間入りができるレベルです。しかし、レベルの高い英検準一級の対策はとても大変ですよね。
特に問題数が多く、レベルも高い英検準一級長文の対策は困難を極めます。そこで今回は、英検準一級長文の対策方法、読み解くためのコツを解説します。
英検準一級取得を目指す高校生は、本記事を最後まで読み、一緒に長文読解対策をしていきましょう。英語塾の講師を勤め、日々英検準一級長文の指導に当たっている鎌田が解説します。
※この記事は7分で読めます。
英検準一級のリーディング(長文)問題の概要
英検準一級のリーディング(長文)問題は、一次試験で行われる筆記試験の一部です。なお一次試験の全体像は、以下の表のとおり。
【英検準一級の一次試験(概要)】
筆記 |
試験形式 |
大問 |
出題内容 |
設問数 |
試験時間 |
リーディング |
大問1 |
短文(語句補充) |
18 |
90分 |
|
大問2 |
長文(空所補充) |
6 |
|||
大問3 |
長文(内容一致) |
7 |
|||
ライティング |
大問4 |
英文要約 |
1 |
||
大問5 |
英作文 |
1 |
|||
聞き取り |
リスニング |
第1部 |
会話(内容一致) |
12 |
30分 |
第2部 |
文(内容一致) |
12 |
|||
第3部 |
Real-Life形式 (内容一致) |
5 |
|||
一次試験の合計 |
|
62 |
120分 |
リーディングパートの大問数は3つで、そのうち2つ(大問2〜3)が長文読解です。出題される長文数は合計5つ(大問4の要約含む)あり、各長文の語数は250〜500語程度となっています。なお解答形式は、すべて4択の選択形式です。
上の表を見て分かるように、本番は同時間に行われる聞き取り(リスニング)試験も意識しながら問題を解く必要があります。リスニングの解答をスムーズに行う準備として、問題の先読みが推奨されるため、筆記試験は5〜10分ほど時間を余して解くのが理想的です。
英検準一級のリーディング(長文)問題の傾向と対策
近年の英検準一級のリーディング問題は、3つの大問で構成されています。具体的な出題内容は、以下のとおり。
- 大問1:短文の語句補充
- 大問2:長文の空所補充
- 大問3:長文の内容一致
本記事は、準一級のリーディング問題のなかでも長文対策に主眼を置いています。ただし解説は、得点源にしたい「大問1の短文の空所補充」も含めて行います。以下で、各大問の傾向と対策を詳しくチェックしていきましょう。
なお試験問題は、英検の公式サイト『準1級の過去問・試験内容(過去問・サンプル問題)』で確認できます。実際に目を通しつつ記事をお読みいただければ、より傾向を深く理解できるでしょう。
大問1:短文の語句補充
大問1は、短文の空所に適切な語句を補う問題です。短い英文や会話文の文脈を素早く読みとり、文法的・語法的に適切な語句を選ぶことが求められます。
2024年度のリニューアル(問題刷新)により7つ減りましたが、設問数は18問と他の大問よりも多めです。しかし後に控える大問に時間を割くために、大問1はとにかく時間をかけずに時進めることが大事です。
文脈を読み取る力はもちろん必要ですが高度な読解力は問われておらず、シンプルに知識が試される問題です。効果的な解答テクニックはないので、テンポよく解いてください。難しく考えず、消去法で適切なものを選べばOKです。
大問2:長文の空所補充
大問2は、長文中の空所に文脈に合う適切な語句を補う「読解問題」です。説明文や評論文タイプの長文が2つあり、それぞれ3段落構成となっています。また空所は、1段落に1つです。
各空所の前後の英文から論理展開を掴むことが、解答選びの最大の手がかりとなります。また各段落の主張(=その段落でなにを伝えたいのか)を意識することも大事です。
筆者の主張が読み取れれば、大半の設問に解答できるので、全文を読む必要がないケースも多々見られます。解答をスムーズにするコツは、以下のとおり。
- 長文のタイトルを読み、内容をイメージする
- 本文を上から順に空所まで読む
- 空所の後の英文を読む
- 選択肢を見て正解を選ぶ
4の時点で主張や論理展開が把握できず、自信を持って正解が選べない状況もあるでしょう。そんなときは、続きを読んで確信を持ってから解答すればOKです。
大問3:長文の内容一致
大問3は、長文の内容に一致する選択肢を選ぶ「読解問題」です。設問のタイプは主に2つで、本文の内容を問う疑問文に答えるタイプと、本文内容から英文の続きを推測するタイプがあります。なお長文は2つあり、いずれも500語前後です。
他の大問より本文も選択肢も長いので、解答には時間がかかります。ライティング問題の解答時間もしっかり確保したいので、時間配分に気をつけながら解きましょう。
解答をスムーズにする解き方は、以下のとおり。
- タイトルを読んで内容を想定する
- 設問を先に読んで本文を読む
- 設問に関わる箇所まで読んで解答する
- 本文の続きを読む
本文をいきなり読まずに、必ずタイトルと設問にまず目を通しましょう。話題と問われる内容を把握すれば、設問に関わる箇所に注目して読解が進められます。設問の選択肢は、詳しく見なくてOKです。
基本的に設問も長文の流れどおりに並んでいるので、一つの段落を読むごとに解答できないかを検討してください。もし解答の根拠になる内容が見つからないなら、解答を選ぶのにふさわしい状況になるまで読み進めましょう。
なお選択肢の表現は、本文の英語表現をパラフレーズしたものになっているケースが多々あります。その点も考慮しながら、選択肢を吟味しましょう。
英検準一級のリーディング(長文)対策の流れとおすすめ参考書を3STEPで解説
ここでは英検準一級のリーディング(長文)対策の流れを、以下の3STEPで解説していきます。
- 基礎を固める(主に語彙力強化)
- 過去問で実践演習を積む
- リーディング(長文)の学習を集中的に行う
STEPごとのポイントとあわせて、おすすめ参考書も紹介します。ぜひ学習の参考にしてください。
1.基礎を固める(主に語彙力強化)
語彙力の向上は、長文の読解力向上に直結します。語彙レベルは二級よりさらに高くなっているので、まずは準一級レベルの単語を覚えるために『英検準1級 でる順パス単(旺文社)』を利用しましょう。インプットとアウトプットを3周繰り返せば、かなり覚えられるはずです。
ただし過去問を見て、長文が全然読めないレベルであれば、まずは『英検2級 でる順パス単(旺文社)』を優先的にやってください。正直なところ二級レベルまでの単語さえ押さえられていれば、長文を読むための最低限の準備はできます。
また文法・語法の学習は、基本的に準一級の取得のために行う必要はありません。準一級を受験する人の多くは、すでに二級合格レベルに達しているか、同レベル以上の知識を備えているはずだからです。
文法を学ぶべき人は「英語学習から離れていた人」や「文法を積極的に復習したい人」のいずれかが対象となるでしょう。一部の入試問題のように文法知識を問うことに特化した問題は英検には出ないので、長文を読解するのに支障のない文法力があればOKです。
英検準一級の筆記試験を攻略するのに必要な「語彙力」と「文法力」については、他の記事でも解説しています。以下の記事も、ぜひチェックしてみてください。
2.過去問で実践演習を積む
基礎固めが終わったら、過去問を使って実践演習を積みましょう。ライティングやリスニングも含めて、本番と同じように時間を測って解いてください。おすすめの参考書(問題集)は、直近の過去問に効率よく取り組める『英検準1級 過去6回全問題集(旺文社)』です。
英検準一級の受験者は、すでに二級を取得していたり受験のために英語学習をしてきたりと、一定の準備ができているはずです。いきなり本番形式で過去問を解いて腕試しをしても、問題ありません。
2023年度以前の過去問は最新の傾向と異なっていますが、余力があれば、さかのぼって過去問演習を積むことも推奨します。リーディング(長文)問題は、さほど改編の大きな影響を受けていないので、よい練習になるでしょう。
3.リーディング(長文)の学習を集中的に行う
過去問を解いて傾向をつかんだら、リーディング(長文)に絞った対策を行うことも、有効な学習方法です。過去問演習と並行しながら、ぜひリーディング(長文)に特化した学習も行いましょう。
リーディング(長文)の得点力をダイレクトに向上させるためには、英検の過去問や同形式の問題集を使うのが最も有効です。『英検分野別ターゲット英検準1級リーディング問題(旺文社)』を使えば、効率よく学習できます。
しかし、英検形式の問題に固執する必要はありません。たとえば『パラグラフリーディングのストラテジー(河合出版)』を利用すれば、長文の構造や主張を把握するのに役立つパラグラフリーディングが身につき、読解や解答のスキル向上が期待できます。
読解スピードが足りなくて長文を読めていない人は、制限時間をいったん無視して精読に集中するのもアリです。速読力は後に上がりますし、そもそも本文内容を理解する力を養わないと、正解は選べません。
またリーディング(長文)を解いて復習を終えたら、本文は音読しましょう。読みながら内容を即座にイメージする訓練は、速読力の向上につながります。
英検準一級のリーディング(長文)攻略のポイント3選
ここからは、英検準一級のリーディング(長文)攻略のポイントを3つお伝えします。多くの受験者がつまずくポイントについて解説しているので、ぜひチェックしてください。
1.時間配分に注意する
筆記試験は、解答に時間を要するライティング問題もあり、試験時間に対する英文のボリュームも豊富です。演習不足で本番を迎えた人のなかには、すべて解ききれない人も…。リーディング問題で得点を最大化するためには、時間配分に注意しましょう。
以下は、理想的な時間配分の例です。なお筆記試験の制限時間は、90分です。
- リーディング:55〜60分
- ライティング:25〜30分
筆記試験中に「リスニングの問題先読み」と「見直し」を実行するために、全体で5〜10分ほどの余裕があればベストです。ライティングの時間を最大30分と見積もった場合、リーディングの時間配分(大問別)目安は、次のとおり。
- 大問1(短文の語句補充):〜18分
- 大問2(長文の空所補充):〜18分
- 大問3(長文の内容一致):〜24分
大問2〜3の長文を40分以内に解かないと、他の大問を圧迫してしまいます。過去問演習を通じて、長文を制限時間内に解くトレーニングをしましょう。
2.多様なジャンルに対応する
英検準一級のリーディング(長文)問題を解く際には、多様なジャンルの英文への対応力も問われます。英文の専門性が高いため、特定の分野における背景知識の有無や語彙力が、読解の質や解答の判断力に影響するからです。
たとえば“hyperinflation”という単語が出てきて、ハイパーインフレーションと読めても、貨幣経済における現象としてのイメージが沸かなければ、内容の理解度も下がってしまうでしょう。
もちろん単語の周りの英文から、意味を類推して読むことも可能です。しかし事前にその意味や事象を知っていれば、よりスムーズに主張を理解しながら長文が読めるでしょう。
多様なジャンルの背景知識は、すぐに身につきません。少しでも英検準一級の合格率を高めたいのなら、積極的に英語で専門書やニュースを読んでみるなど、背景知識や語彙力の増強に努めるべきでしょう。
3.完璧を目指さない
英検準一級は、問題の難易度が高くて制限時間も厳しいので、完璧に解くのは難しくなっています。したがって、あらかじめ自信をもって解けない問題もあると認識するべきでしょう。「完璧を目指さない」意識で臨めば、精神的にも楽で、効率よく解答が進められます。
一次試験を突破するために必要なCSEスコアは、2250点中1792点とされています。正答数とCSEスコアの換算基準は非公開なので正答数だけで判断できませんが、目安として7割ほどの正答率は必要になるでしょう。8割取れれば、かなり安心できます。
逆にいえば、2〜3割は間違ってもOKという訳です。完璧を求めすぎると、ペースが上がらずに解答時間が足りなくなる原因にもなるので、しっかり準備をしたうえで本番は思い切って解答を進めましょう。
英検準一級のリーディング(長文)に関する3つのQ&A
ここでは、英検準一級のリーディング(長文)に関してよくある疑問について回答していきます。学習の役に立つ情報なので、ぜひチェックしてみてください。
Q1.英検準一級の難易度・レベルは?
英検準一級の難易度は、かなりハイレベルです。帰国子女で不合格になる人もいるようで、過去の受験データによると、英検準一級の合格率は約15%とかなり低くなっています。合格者の半数以上が大学生や社会人なので、高校生のうちに合格できる人はごく一部なのも事実…。
また共通テストの英語でいえば、満点に相当するレベルです。昨今の大学入試では、準一級合格者は、英語が満点扱いになったり試験そのものが免除になったりする場合もあります。さらに入試だけでなく、大学の単位認定や留学、さらには就職においても優遇されうる資格です。
Q2.学習で「注意すべきこと」は?
制限時間に対する問題のボリュームが多いので、英検準一級のリーディング(長文)対策では、ついつい速読力を高めることがフォーカスされがちです。しかし最優先されるべきは、正しく内容を理解して読む精読力です。
もちろん実践演習は、時間を測って高得点を目指す練習をすべきです。しかし精読力を高めるためには、速く読む練習よりも、むしろ1つの長文とじっくり向き合う練習のほうが大事です。
復習や学習の初期段階では、時間を測らずに英文を解釈することに重点をおきましょう。もちろん学習量や実践演習の数も大事ですが、学習の質を高めるために、まず「わからないこと」「できないこと」を徹底的に克服する時間を大切にしましょう。
Q3.過去問演習の他に取り組めることは?
リーディング(長文)の読解力を高めるには、活きた英文に慣れることも大切です。日常生活のなかで、積極的に英文を読む機会を増やしましょう。
日本語と英語は、文章の構造や修飾の仕方などが異なっています。この特徴の違いが「英文は読みにくい…」と感じさせる原因になっているので、読む経験を増やすことが英文解釈のトレーニングになります。
たとえば『The Japan Times』のようなニュースサイトで興味のある記事を読んでみたり、小説を英語版で読んでみたりするとよいでしょう。『The Economist』や『Nature』のような専門誌を読むハードルは決して低くありませんが、背景知識も獲得できて一石二鳥です。
英検準一級のリーディング(長文)を対策して8割を目指そう!
英検準一級の一次試験を突破するためには、徹底した過去問対策が必要です。制限時間内に効率よく解くことを意識して、演習を行いましょう。リーディング(長文)パートでは、得点率7割を通過点にしてください。目指すべき理想は、8割です。
しかし、記事を読んで語彙力や背景知識が大事なのは分かったけれど、長文読解の学習に不安が残る方もいるでしょう。そんな方は、英語専門塾であるEnglish-Xにお任せください。リーディングはもちろん、English-Xなら4技能すべての対策が可能です!
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