早稲田大学の政治経済学部は、受験生からの高い人気を誇る学部の1つ。
そんな政治経済学部の独自試験(総合問題)は、英語の割合が大半を占めます。
独特な問題形式なだけに「早稲田大学の政治経済学部英語を攻略するためには、どんな対策をするべき?」と気になる方も多いでしょう。
今回はそんな疑問を解決するために、早稲田の政経英語について徹底解説します。
試験問題に対応する力を養うための学習やおすすめ参考書も紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
※本記事は、早稲田大学政治経済学部に合格者を輩出したENGLISH-Xが監修して作成しました。
※本記事は約5分で読めます。
Contents
早稲田大学政治経済学部の英語の概要
早稲田大学政治経済学部の独自試験には、独立した英語の問題がなく、総合問題を通じて英語力が問われます。
以下に続く試験の解説をチェックして、まずは総合問題の全体像をつかみましょう。
配点・試験時間
学部独自試験の総合問題は、これまでは主に次の大問構成や配点での出題となっています。
- データ分析問題:45点
- 読解総合問題:40点
- 英作文問題:15点
- 合計:100点
年度によって出題と配点が少し変わるケースもり、例年100点満点のうち55〜60点が英語に配点されています。また試験時間は120分で、解答形式はマーク式が大半となっており、記述式は数問のみです。
難易度・レベル
政治経済学部の英語の難易度は、早稲田大学の他学部の入試問題と比べて高くありません。また総合問題という出題形式になる以前よりも、英語の問題レベルは「やさしめ」です。
総合問題の例年の受験者平均は、政治経済学部のどの学科でも6〜7割ほどあります。英語の受験者平均が5割未満になる学部(法学部・社会科学部など)と比べれば、得点しやすい試験だといえるでしょう。
ただし政治経済学部は、早稲田の看板学部であり人気の高い学部です。そのため、入試そのものはハイレベルな競争となります。
早稲田大学政治経済学部の英語の傾向
まずは新傾向の試験である「総合問題」の、これまでの出題形式をチェックしましょう。
大問 |
2021 |
2022 |
2023 |
2024 |
Ⅰ |
日本語のデータ分析 |
英語のデータ分析 |
日本語のデータ分析 |
日本語のデータ分析 |
Ⅱ |
英語の読解総合 |
日本語の読解総合 |
英語の読解総合 |
英語の読解総合 |
Ⅲ |
英作文 |
英作文 |
英作文 |
英作文 |
上の表を見て分かるように、近年の総合問題は、
- 日本語のデータ分析問題
- 英語の読解総合問題
- 英作文問題
の3つで構成されることが大半です。
特徴として、英語問題でも日本語問題でも本文のボリュームが多いことが挙げられます。また政治経済学部らしく、本文のテーマは「政治」「経済」における社会問題が定番となっています。以下で各大問について解説しているので、さらに問題傾向への理解を深めましょう。
データ分析問題
本文が英語の場合に出題される問題は、本文内容に対して適当な選択肢を選ぶ「空欄補充」や「内容一致」がメインです。また年度によって語数は変わりますが、200字程度の日本語でまとめる論述問題も出題され、総合問題らしく英語だけでなく現代文の力も問われます。
データ分析問題は、さまざまな社会問題を統計的側面から掘り下げる出題内容になっています。これまで取り上げられた具体的な内容は、次のとおりです。
- 少子高齢化
- ギリシャの経済統計改ざん問題
- 格差社会論
- メディアの効果論
高得点を取るためには、本文と資料(図表・グラフ)から正確に内容を読み取る力が必要です。
なおデータ分析問題の本文が英語で出題された2022年度においても、資料の言語や問題文は日本語でした。
読解総合問題
本文が英語である読解総合問題の特徴は、本文が超長文であることです。直近3年は、以下のような語数で推移しています。
- 2022年度:1382words
- 2023年度:1798words
- 2024年度:2805words
近年は語数が大幅に増えているため、ボリュームのある長文を読みこなす力は不可欠です。ただし本文の語彙レベルが低下傾向にあり、多くの受験生にとっては読みやすい長文になっていました。
また設問のボリュームは、時間に対して妥当です。ムダなく解き進められれば、じっくり時間をかけて解答しても問題ないでしょう。
新傾向の設問には、
- 適切なグラフを選ぶ問題
- 簡単な計算を要する問題
など近年の入試トレンドを踏まえた「資料の情報を処理する問題」が見られます。またデータ分析問題と同じく、論述問題も毎年出題されてきました。その一方で、以下のような旧傾向の定番問題も出題されています。
- 文整序
- 連立型の適語補充
- 内容一致
- 要旨
また読解総合問題の本文には、次のテーマが取り上げられています。
- ピーター・シンガーの倫理学
- 多文化社会の偏見・差別
- majority judgementという投票方式
- 世界はどのようにして裕福になったか
本文が英語のときに問題文は日本語であることが多いのですが、2021年度(ピーター・シンガーの倫理学が出題された年)は、問題文も英語でした。今後も同形式で出題される可能性があるため、過去問演習で設問の指示を実際にチェックしておきましょう。
英作文問題
英作文問題は、意見論述型の自由英作文です。語数の指定はありませんが、解答用紙のスペースの都合上100〜150語程度の長さにまとめることで、適当な解答になるでしょう。
2008年度以降は、テーマに対する賛否を2つの理由とともに記述する形が続いてきました。しかし2024年度には、自分の意見を理由と具体例を用いて論じる新しい傾向も見られます。
なお近年の英作文のテーマは、以下のとおり。
- 「平和的な抗議活動は、平和的であるべき」という意見の是非
- 「オンライン上のやりとりでも実名を使うべき」という意見の是非
- 「子供の教育にとって音楽と芸術は数学と語学より重要度が低い」という意見の是非
- 「個人の自由は社会の公平性とどのように関連しているか」という問いに対する意見
若干の傾向の違いもありますが、いずれの年度にも「自分の意見を理由とともに述べる」という共通点があります。また今後も、社会や政治の問題に対して「根拠をもって考えを述べられるか」という観点での出題が続くと予想されます。
早稲田大学政治経済学部の英語対策・勉強法【参考書も紹介】
早稲田の総合問題は設問数が少ないため、1問あたりの配点が大きくなります。特に選択問題は、得点源にすべき設問なので簡単に落とせません。もしミスが重なれば、それが致命傷になることも…。
しかし、安心してください。共通テストで常に高得点を取る英語力があれば、総合問題の英語パートは攻略できます。以下で合格するための対策・勉強法を5つのステップに分けて解説していますので、ぜひお役立てください。
1.語彙レベルを高める
まず鍛えるべきは、語彙力です。試験時間が120分あるとはいえ、本文のボリュームはかなり多いため、テキパキと本文を読み進めなくてはなりません。
早稲田レベルの語彙をしっかり頭に叩き込んで本番に臨み、意味を思い出したり類推したりするのに時間がかからない状態を作りましょう。英作文もあるので、単語はスペルまで正確に覚えることが必要です。
おすすめの単語帳は、以下のとおり。
- ターゲット1900(旺文社)
- 英検準1級でる順パス単(旺文社)
『ターゲット1900』だけでも、なんとか対応はできます。しかし読解をよりスムーズにするために、2冊目の単語帳で英検準1級レベルの語彙力をもって早稲田に挑戦することを推奨します。
なお以下の記事では、単語の勉強法について紹介しています。これから基礎固めをする方は、ぜひ参考にしてください。
2.基礎的な文法力を固める
英文法は、基礎レベルの知識が身についていればOK。過去問の長文が問題なく読めるレベルに到達していれば、特に対策は必要ありません。進学校でよく扱われる
『Next Stage 英文法・語法問題(桐原書店)』などの文法書で、網羅的に学習をしておきましょう。
これまでの総合問題では、語彙や文法・語法の知識を集中的に問う出題はありませんでした。英文内容の理解や思考力を問う設問をメインにしてきた総合問題で、知識を問うことに特化する問題を急に出すことも考えにくいでしょう。
なお文法の勉強法を詳しく知りたい方は、以下の記事もご覧ください。文法・語法の学習が苦手な人に、耳よりな情報を解説しています。
3.長文読解の演習を徹底的に積む
出題形式がどうであれ、長文演習で意識したいのは、読解に資料の読み取りが絡む点です。
ただし、むやみに警戒する必要はありません。「データ分析問題」といえども、高度なデータサイエンスの知識やスキルは不要です。本文と資料を行き来して読解することに慣れていれば、慌てずに解答できるでしょう。
まずは長文読解の演習をしっかり積みましょう。過去問演習に入る前に(もしくは並行して)、以下の参考書(問題集)などでトレーニングをすることを推奨します。
- やっておきたい英語長文700〜1000(河合出版)
- 英語長文ハイパートレーニング2〜3(桐原書店)
- 英語長文ポラリス2〜3(KADOKAWA)
4.過去問演習で得点力を上げる
英語パートの問題を攻略するなら、以下の3つを意識したトレーニングが必要です。
- 論述問題
- 選択問題
- 自由英作文
それぞれの対策について、さらに詳しく見ていきましょう。
論述問題の対策
大まかに分けると総合問題の論述は、2種類あります。1つは「本文内容を正確に捉えられているか」を重視して問うもので、書くべき解答が定まってくる問題です。解答に必要な要素を見極めて、いかに模範解答に近い記述が書けるかが勝負になります。
もう1つは「本文内容や筆者の主張に沿って適切な推測ができるか」を問う問題で、こちらは少し記述の自由度が高くなり、思考力が求められます。本文内容から逸脱しない範囲で推測を述べることが大事ですが、考察の姿勢も問われており、解答を書き切ることが大事です。
いずれも本文の大意を読み取る力と、簡潔にまとめる表現力が問われています。盛り込むべき要素をまずピックアップし、次に指定文字数に合う文章に調整するという感じで、段階的に解答を作成するトレーニングをしましょう。
対策は過去問メインでOKなのですが、論述系の問題に積極的に触れる機会を持ち、必ず解答は添削してもらってください。以下の参考書(問題集)を使って、本文の論旨を把握する練習や要約系の記述の練習をしておきましょう。
- パラグラフリーディングのストラテジー1・2(河合出版)
- 【新装版】英文解釈要約精講(開拓社)
大半を占める選択問題は、多くの受験生の得点源です。他の受験生に差をつけて合格を手繰り寄せるために、論述問題の解答の質を高めましょう。
選択問題の対策
選択問題は、満点を目指してください。解答を慎重に選ばなくてはならない設問もありますが、本文内容を正確に捉えられていれば問題なく解けます。
なお政経英語の新傾向の問題にも旧傾向と同じタイプの選択問題が出題されているため、さかのぼって過去問を利用するのが有効な対策になります。もちろん参考書(問題集)で、長文読解の演習を積み重ねることも重要です。
得点力アップのポイントは「内容一致」や、文脈重視の「空欄補充」など、読解力を問う設問の正答率の安定・向上です。長文演習に取り組んだ後は、語彙や文法・語法の設問より、読解系の設問の復習や本文の精読に時間をかけましょう。
自由英作文の対策
英作文は取り組みやすく、対策をすれば高得点も狙えます。データ分析問題や読解総合問題に時間をかけたいので、15〜20分程度で書き上げられる練習をしましょう。
自由英作文を解くときは、まず日本語で構成を考えましょう。「賛否・意見→理由→結論」という流れに合わせて、解答の要素をピックアップしたメモを作り、それを元にして英作文を書いていくイメージです。
また英作文をスムーズにするために、やさしい表現・構文で構わないので、伝えたいことを明確に伝えられる英文のテンプレートを作りましょう。英作文の型を身につけ、さまざまな自由英作文のトレーニングを積みたい方には、以下の参考書がおすすめです。
- 基礎からの英作文実践講義(研究社)
- 自由英作文読本(河合出版)
- 英作文ハイパートレーニング自由英作文編(桐原書店)
いきなり過去問を解いてもOKですが、過去問だけでは演習量を確保できません。演習量を確保するのに、英検2級(もしくは準1級)のライティング問題を利用するのもアリです。
また以下の記事では「英作文の基礎」について詳しく解説しています。英作文対策を行う方は、ぜひチェックしてみてください!
5.背景知識も身につける
社会学や政治学など、本文のテーマになるような時事には敏感になりましょう。背景知識や知見の有無は、よい解答をスムーズに作るスキルに影響します。
早稲田大学の総合問題には、その場の判断力や思考力を問う問題もあるため、知識がなくても論述や英作文を書くことは可能です。しかし当然ながら、背景知識があるほうが本文が読みやすくなり、解答を考える時間も短縮できます。
普段から社会問題に興味を持ち、それらに対する自論を持っておくことが理想です。また日本だけでなく、グローバルな視点で時事に意識を向けましょう。
早稲田大学政治経済学部にまつわるQ&A3つ
ここでは、多くの受験生が気になる早稲田大学政治経済学部の情報をご紹介します。以下の3つの疑問にお答えするので、ぜひチェックしてみてください。
- Q1:どんな学部なの?
- Q2:入試の方法は?
- Q3:一般選抜では何割取ればいい?
Q1:どんな学部なの?
早稲田大学政治経済学部は、日本国内の私立大学文系学部で最難関の学部に位置づけられている、早稲田大学のなかでも人気の学部です。
第91代内閣総理大臣の福田康夫氏やユニクロを傘下に持つファーストリテイリング代表取締役兼社長の柳井正氏などこれまで多くの著名人を輩出しています。学ぶ内容は、主に「政治学」や「経済学」で、グローバルな視点から研究することに重きをおいています。
【早稲田大学政治経済学部の概要】
- キャンパス:早稲田キャンパス
- 生徒数:3,914人(2024年11月15日時点)
- 専任教員数:116人(2024年11月15日時点)
- 学科:「政治学科」「経済学科」「国際政治経済学科」
- 偏差値:70
Q2:入試の方法は?
高校生が受けられる早稲田大学政治経済学部の入試は、
- 一般選抜
- 大学入試共通テスト利用入学試験
- グローバル入学試験
- 「外国学生入学試験
の4つで、本記事では最も募集人員の多い一般選抜について解説します。
一般選抜の概要
一般選抜の概要は、以下のとおりです。
出願期間 |
2025年1月6日〜1月20日 |
試験日 |
大学入学共通テスト 及び 2025年2月20日 |
合格発表 |
2025年2月28日 |
募集人数 |
300人(政治学科100人/経済学科140人/国際政治経済学科60人) |
上の表は、2025年度入試の情報にもとづいています。受験生は、必ず自分の目で受験者要項をチェックしてください。
一般選抜の配点や出題範囲
2021年以降からは、基礎的な学力を共通テストで測り、入学後の政治経済学部における学びにつながる準備ができているのかを総合問題で評価する試験になっています。それ以前は、外国語・国語・選択科目からなる3教科型の試験形態でした。
なお合否は、以下の得点を総合して判断されます。
- 共通テスト必須3科目:75点
- 共通テスト選択1科目:25点
- 学部独自試験:100点
共通テスト4科目合計の100点、学部独自試験である総合問題の100点の合計200点満点が入試の得点です。
共通テスト必須3科目
共通テストの以下の科目については、受験が必須となっています。
教科 |
配点 |
科目 |
外国語 |
25点 |
①英語②ドイツ語③フランス語から1科目 |
国語 |
25点 |
国語 |
数学 |
25点 |
数学Ⅰ、数学A |
英語(リスニングを含む)と国語は、配点200点を25点に換算し、数学は配点100点を25点に換算します。
共通テスト選択1科目
共通テストの必須3科目以外に、選択科目として以下のいずれか1科目を受験する必要があります。
教科 |
配点 |
科目 |
地歴 公民 |
25点 |
①歴史総合、世界史探究 ②歴史総合、日本史探究 ③地理総合、地理探究 ④公共、倫理 ⑤公共、政治・経済 ※上記から1科目 |
数学 |
25点 |
数学Ⅱ、数学B、数学C |
理科 |
25点 |
①物理基礎 ②化学基礎 ③生物基礎 ④地学基礎 ※上記から2科目
または
⑤物理 ⑥化学 ⑦生物 ⑧地学 ※上記から1科目 |
情報 |
25点 |
情報Ⅰ |
各科目の配点100点を25点に換算して、一般選抜の得点とします。
学部独自試験
学部独自試験は総合問題で、日本語・英語2つの言語を用いた長文問題が出題されます。
本記事で詳しく解説しているため、ここでの説明は割愛します。
Q3:一般選抜では何割とればいい?
結論、総合得点は8割以上を目指してください。早稲田大学政治経済学部のどの学科も、例年の合格平均点が7〜8割にのぼるからです。
また総合問題(学部独自問題)の目標点は、8割以上が理想です。過去の合格最低点が約6割ほどであることを考慮すると、7割以上がひとまず安心できるラインになるでしょう。
一般入試は、共通テストの得点も対象となります。学部独自試験の総合問題対策だけでなく、共通テスト対策の徹底も必須です。共通テストでは、全科目8割以上を目指してください。
早稲田の政経への合格は英語対策が決め手になる!
ここまで、早稲田大学政治経済学部の英語対策について解説しました。総合問題の英語パートを攻略するための基本的対策は、超長文を解きこなすための長文演習です。
ただし周囲の受験生に差をつけるのは、論述問題と英作文の解答の質です。解答を作成したら、必ず添削を受けてレベルアップしましょう。学習を通じて、他者の視点や表現を取り入れることで解答の精度がぐっと向上します。
目黒の英語塾ENGLISH-Xでは、早稲田大学政治経済学部の英語対策も行っています。合格のカギとなる論述問題や英作文の添削など、高得点を獲得するために欠かせないサポートはお任せください。
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